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2012/02/03

2060


厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の将来推計人口によると、2060年に日本の人口は8674万人になるようだ。
たった50年で、現在の1億2806万人から4132万人減るというのである。
現在の関東地方1都6県の全人口が約4200万人。
それと同程度の人口が半世紀後には日本からいなくなるというのだから、今後の人口減少の異常さが分かる。

2010年の実績値と、今回発表された2060年の推計値を簡単にまとめたものが以下の表。


2010年(実績値)
2060年(中位推計)
総人口
1億2006万人
8674万
老年人口
(65歳以上)
2948万人
(23.0%)
3464万人
(39.9%)
生産年齢人口
(15〜64歳)
8173万人
(63.8%)
4418万人
(50.9%)
年少人口
(0〜14歳)
1684万人
(13.1%)
794万人
(9.1%)
合計特殊出生率
1.39
1.35
平均寿命
男:79.64歳
女:86.39歳
男:84.19歳
女:90.93歳


















この表を見れば分かるが、今後、日本は人口が急激に減少し、ますます少子高齢化が加速する。
2060年には老年人口は2010年より16.9%プラスする一方で、生産年齢人口、年少人口はそれぞれ12.9%、4%マイナスする。
50年前の1960年には11.2人の生産年齢人口で1人の老年人口を支えており、「胴上げ型」の構図であった。
それが2010年には2.8人で1人を支える「騎馬戦型」になり、2060年には1.3人で1人を支える「肩車型」になるらしい。

2010年に1.39であった合計特殊出生率(女性が生涯に生む子どもの数に近い数値)も、2060年には1.35となると推計されている。
人口を維持するために必要とされている数値は2.07。
遠く及ばない。

少子高齢化と人口減少に歯止めがかかる気配はこれっぽっちもない。

こうも人口変動が激しいと、社会のいたるところで支障をきたすのは目に見えている。
老年人口の増加する一方で担い手が減少していくから、年金、医療、介護など生産年齢人口の保険料を中心に組み立てられている社会保障への影響はとてつもなく大きいだろうし、たとえ消費税率を10%に引き上げたとしても、膨らんだ社会保障費を賄いきれず、国の財政は一段と悪化するとの予想もあるみたい。
人口の激減は空き家の激増を意味するでしょ?
それもまた問題。
都市の拡大とともに伸長してきたインフラストラクチャーも管理しきれずに、放棄されたりするかもしれない。
採算の取れない公共交通機関だって廃止になったりすることも十分考えられる。
というか、廃村だけでなく廃市するところも続出するはず...

現行の社会制度をいかに書き換え、価値観をいかに転換し、縮小時代をいかに生きていくのか。
ちゃんと考えなきゃマズいよね。
特になにもなければ50年後も生きてるし、生きてかなきゃいけないし、生きたいし。

「持続可能な社会のために」と、環境問題やエネルギー問題に取り組んでいる人や企業は多い。
けど、人口減少・少子高齢化に伴う社会変動に対する危機意識は、環境問題やエネルギー問題のそれよりもいくぶんか弱い気がする。
環境問題やエネルギー問題ももちろん重要だし、取り組まなくちゃいけないとは思うけど、社会が持続可能であるためには、人口減少・少子高齢化に伴う社会変動に対しても、同じぐらい危機感もって取り組んでいかないんじゃないかな、と僕は思います。

環境問題にエネルギー問題、それに人口減少・少子高齢化に伴う数々の社会問題etc.…
課題先進国と言われているだけあって、日本は実に多くの問題を抱えている。
しかもかなり入り組んだ状態で。
でも、それらの複雑に入り組んだ社会的課題をデザインの力を使って、解決に向けて取り組んでいる事例が増えてきている。
課題を解決したり、負担を軽減させたり、縮小の進行スピードを緩めたり。
程度の差はあれ、日本でも、世界でもそんな事例が増えてきている。
「ソーシャルデザイン」や「コミュニティデザイン」、「コミュニケーションデザイン」が注目されているのがその証拠。

issuedesign projectの筧裕介さんが言うように、「地域が抱える社会課題の本質を心・身体・頭で直感的・身体的に捉え」たり、「多種多様なステークホルダーがともに持続可能な美しい未来の姿を思い描き、地域に眠る資源を活用した仕組みや経験(コト)を創出する」、そんなデザイン思考がこれから求められるのだろう。

デザイン思考がもっと普及すれば、日本の未来も少しは明るくなるかもしれない。

葛城ミサトさんはこう言ってます。

「希望的観測は、人が生きていくための必需品よ?」


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