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2013/02/27

誕生日サプライズ


放送作家として『料理の鉄人』をはじめ数々の名TV番組を手がけたり、脚本家として映画『おくりびと』で日本アカデミー賞脚本賞を受賞したり、最近では東北芸術工科大学(山形)の企画構想学科で教鞭をとったりと、日本有数の「企画力」を持つ小山薫堂さん。
テレビで観たんですが、ご自身の会社には企画力を養うため、あるルールが設けられているそうです。
それは、会社の社員の誕生日には必ずなんらかのサプライズを企画すること。
理由は企画力を鍛えるのに「誕生日サプライズ」が格好の教材になるからなんだとか。

小山さんは言います。

「企画は思いやりから生まれる」

「誕生日サプライズ」を成功させるにも、ターゲットに対する「思いやり」が必要です。
何が好きか?とか、何をすると喜ぶか?とか、何に凝っているか?とか。
ターゲットに「思いやり」を持って接することで、そういった相手の情報を集めることができますよね?
そうした情報こそが企画の種になると言うのです。

これを聞いて思い出したが、茶人・千宗屋さんの「おもてなし」に対する考え方。
「おもてなし」に似た言葉に「サービス」というのがありますが、両者は決定的に違うと千さんは言います。
「お客様は神様です」といった姿勢で、丁寧に、失礼がないように、相手に何かを提供するサービスは、極端な話、相手のことをまったく知らなくとも成立する。
相手を問わず提供できるサービスはマニュアル化できてしまうのです。
でも、「おもてなし」はそれができない。
なぜなら、「相手をもてなすということは、『ある人に対しての、自分にしかできないもてなしをする』、ということ」が前提にあるから。
つまり、「おもてなし」は相手(に対する情報=インプット)によって、そのアウトプットが変わってくる。
自分の持つ知識や能力を相手に応じてカスタムメイドしてONLY YOUの応対をすることこそ「おもてなし」の基本なのだから、誰彼構わず対応できてしまう「サービス」とはその点が決定的に違うというわけです。

「自分しかできないもてなし」方で、ターゲット特製企画の「誕生日サプライズ」をすることは、「おもてなし」と言えそうですね。

「思いやり」から企画を生んでも、それを実際に実施しなくては「絵に描いた餅」で、意味がありません。
「誕生日サプライズ」では実施に向けたテクニックも学ぶことができると小山さんはおっしゃいます。
一人でやるにせよ、複数人でやるにせよ、企画を実施するには人材をどうコーディネイトして、全体をマネジメントしていくかが重要になってきます。

日程調整、備品(プレゼントやサプライズの仕掛けなど)の調達、お店の予約、予算の管理etc…
企画を実施する時に必要なTO DOはプライベートにおいてもビジネスにおいても変わりません。
というわけで、「誕生日サプライズ」を実施するにあたり、マネジメント力を養成することもできるというわけです。

「思いやり」から企画を生んで、マネジメント力を活かして実施する。
「誕生日サプライズ」には本当に企画に必要なことが詰まっていますね。
企画力を鍛える格好の教材というのも納得です。

それで調べてみたら、小山さん、サプライズ本出していました。
『人を喜ばせるということ―だからサプライズがやめられない』という本が中央公論新社から発売されているようです。
発売されたのは2009年のようですが、この本には小山さんがやってきた「サプライズの全記録」が掲載されているとのこと。
読んでないので何とも言えませんが、誕生日に限らず、誰かにサプライズを仕掛けるときの参考になりそうな気配はします。

サプライズの参考には「サンタのよめ」というウェブサイトもオススメです。
小山さんの本と違って、こちらは何度も覗いているサイトなので自身を持ってオススメできます。
「『サンタのよめ』は、プレゼントを考えたい人、サプライズをしかけたい人と一緒にアイデアを考え、実行をサポートするプロジェクト」。
サイトにはこれまで「サンタのよめ」たちがしかけてきたサプライズが紹介されていますし、サイトを閲覧した人が実施したサプライズを投稿できるようにもなっており、サプライズ好きのとっておき企画が蓄積されています。
サプライズ企画に困った時に覗くと、アイデアのヒントがもらえるかと思います。

「サンタのよめ」代表のまきさん曰く、「プレゼントは“幸せの循環”を生む」。

しっかり考えられた良いプレゼントされた人は、「自分はこんなに愛されているんだ」と実感できるし、「自分も誰かにしてあげたい」と思い、行動する。
そうして“幸せの循環”が生まれるんだと。

「誕生日サプライズ」をはじめ、ターゲットのことを思いやって考えた企画は、「恩送り」や「Pay it Forward」といったムーヴメントを引き起こし、社会を良い方向にシフトさせる力を持っているのかもしれませんね。

企画力を養いたい人も、愛する人がいる人も、「誕生日サプライズ」にトライしてみませんか?