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2012/10/08

ピクニック・ライト


「ピクニック・ライト」
この言葉をあなたは知っているだろうか?
これは「東京ピクニッククラブ」が主張している「ピクニックをする権利」のこと。

「東京ピクニッククラブ」とは、ピクニック生誕200年を記念して、建築家の太田浩史と研究者の伊藤香織を中心に結成された任意団体。
彼らのほかに都市計画家やランドスケープアーキテクトといった「都市」に専門性を持つ人や、イラストレーターや写真家、グラフィックデザイナーに編集者、キュレーターやプランナー、それからフードコーディネーターといったクリエイティブな職能を持つ面々で構成されている。
「東京ピクニッククラブ」の活動のコンセプトは「ピクニックの原形を歴史に探りつつ、多彩なクリエーターのコラボレーションによって、自由で洗練された現代のピクニックの姿を提案」し、「社交の場としての都市の緑地や共有スペースの利用可能性を追求」すること。
また、120を超えるアンティークピクニックセットのコレクションを保有しているらしく、「グリーンフィールド・ビール」や「ブラウンフィールド・ティー」といったオリジナルレシピも開発しているという。
更に、ピクニックをする際に押さえておきたい15のポイントとして、「ピクニックの心得」というものをまとめているので、興味のある方は「東京ピクニッククラブ」のホームページにアクセスされたし。

「東京ピクニッククラブ」の面々はもはやプロの「ピクニシャン」(「マジック」をする人のことを「マジシャン」というように)。
彼らの活動の中でも、とりわけユニークなのが冒頭にも書いた「ピクニック・ライト」を主張しているところ。
それも都市居住者の基本的権利として。
彼らはこう宣言する。

東京ピクニック・クラブは「ピクニック・ライト」を主張する。我々は、ピクニックをする場所が欲しい。ベンチでもなく、噴水でもなく、ただただ広い芝が欲しい。もしも東京の公園と緑地=グリー ン・フィールドを開放してくれたなら、ピクニックは都市を交流の場として再生させる確かな手立てとなるであろう。緑地が足りず、芝がなくとも、活用されていない空地=ブラウン・フィールドがあったなら、そこで食事や会話を楽しみたい。そうすれば200年目の東京でのピクニックは、新たな都市風景を受容するための切実な試みとなるであろう。
人と出会い、時間を忘れて語り合い、自然と文化を楽しむ権利。それらを都市のなかに求めていきたい。

都市のなかで「人と出会い、時間を忘れて語り合い、自然と文化を楽しむ」こと。
それは「健康で文化的な最低限度の生活」として保証されていてしかるべきもののような気がするけど、それが危ぶまれているのが今の世の中ということなのかもしれない。
公園をはじめとした公共空間には規制が多くて、何をしてよくて、何をしてはいけないのかがよく分からず、ともすると生存権すら奪われかねない現状に、彼らは「ピクニック」という行為を通じて、「このままでいいの?」と問題提起している。
「東京ピクニッククラブ」のようにまちを使いこなす人が増えれば、きっと管理する側の意識にも、使う側の意識にも何らかの変化が起こってくるはず。
そうすれば「新たな都市風景」も自然と生まれてくるんじゃないだろうか。
“ピクニシャン”になろう。

  東京ピクニッククラブ
http://www.picnicclub.org/index.html

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