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2012/11/12

アオーレ長岡


新潟県長岡市は市役所に問題があった。
役所の人間が云々という問題は長岡市に限らず、日本全国の自治体が抱えている問題だけど、長岡市の場合はそうしたヒューマンリソースのみならず、市役所というハード自体に問題があったのだ。
それがこれ。

(1)長岡市役所の本庁組織が地方分権や合併などに伴う業務の拡大のために、市内7カ所に分散し、不便な状況になっている。
(2)災害時の防災拠点となる本庁舎の耐震性が、国が定める基準の6割程度しかない。

こうした状況から、長岡市では「市役所どうする?」問題があったのだそう。
そのため、長岡市は「行政機能再配置検討市民委員会」「意見交換会」「市政懇談会」などを設けて、市民の意見の聴取に積極的に取り組むなどして、さまざまな観点から検討を重ねてきたそうだ。
長岡市が抱える課題の解決のためには、市役所の中心市街地への移転が最も効果的なソリューションである。
検討の末、そのような結論に至り、20072月の市議会にて本庁舎の中心市街地への移転が正式に決定。

そうして201241日にオープンしたのが、シティホールプラザ「アオーレ長岡」。
設計したのは日本を代表する建築家の隈研吾さんなんだって。
「常に何か楽しいイベントをやっていて、用事がなくてもぶらりと立ち寄ってしまう。そんなまちのにぎわいの発信地でありたい」
そんな想いから生まれたのが、「生活の温もりと人びとのにぎわいにあふれた『まちの“中土間(ナカドマ)”』」というコンセプト。
オープン以来、そのコンセプト通り、「あらゆる世代の多様で自発的な活動を実現する場として、また、市民活動の『ハレの場』として、誰もが憩い集う『市民交流の拠点』」として活用されているのだとか。

「アオーレ長岡」はJR長岡駅と直結しており、駐車スペースも申し分ない。
地下駐車場に103台分、市営駐車場と提携駐車場を合わせるとキャパシティは1500台分。
環境にも配慮して自然エネルギーを積極的に活用できる造り。
耐震性は基準の1.25倍の強度を誇る。
当初の予定通り「アオーレ長岡」はJR長岡駅前という中心市街地に建設されたわけだが、市役所を中心市街地に移転する場合、通常は出ない国の補助金を受けることができるとのこと。
また、住民参加型市場公募地方債「アオーレ長岡市民債」を発行することで、建設費の15億円分の資金を調達したそうだ。

「アオーレ長岡」の特徴は、なんといっても「アリーナ」「ナカドマ」「市役所」が一体となっているところ。
市役所機能と「アリーナ」や「ナカドマ」(全天候型の広場)といった施設が一体となったのは、全国初のことなのだそうだ。
バスケットボールコート3面分の広さを持ち、座席数最大4200席の「アリーナ」では、プロスポーツのゲームやコンサート、講演会など多目的に活用でき、さらにナカドマと接する壁面を開放することもできるという。
日本建築の土間の概念を取り入れて作られた「ナカドマ」は、誰でも立ち寄ることができ、屋根があるので、天候問わず、さまざまなイベントに使うことができる。
市民団体の発表の場としてはもちろん、結婚式やミニライブ、300インチの大型モニターが設置されているので、パブリックビューイングも可能。
コンビニやカフェも併設され、また移動販売車や屋台も自由に出店することもできるので、全国から地酒や地ビール、B級グルメなどを集めてきて大規模なイベントの開催にも最適と言える。
市役所にも市民の疑問解消に最大限サポートする「市役所コンシェルジュ」新たに配置し、「たらい回しのない」「日本一便利で分かりやすい!」役所を目指しているそうだ。
なんとも頼もしいかぎりである。

「アオーレ長岡」はオープンに先立ち、2011年にプロモーション映像を作っている。
アートディレクションを担当したのは、ミスチルやゆずのアートワークでおなじみの森本千絵さん。
森本千絵さんと約100人の市民がワークショップ形式で一緒になって企画・出演している。
その映像がコチラ↓

振り付けはおそらくコンドルズの近藤良平さん。
映ってるしね、多分そうだと思う。
ちなみに隈研吾さんも、森本千絵さんも映ってるから気になる人は探してみてください。
補足で言えば、NHK連続テレビ小説「てっぱん」のオープニングで話題となった「てっぱんダンス」も森本さんと近藤さんが手がけたもの。
このプロモーション映像はナカドマの300インチディスプレイでも随時上映しているそうだ。
このプロモーション映像の作成にかかわった市民にとっては、なんかこれだけでこの場所に誇りと愛着みたいなのが湧く気がする。

「アオーレ長岡」はソリューション。
市役所機能の分散と防災拠点としての耐震強度の問題という「いま」の課題だけではなく、「これから」の課題に対する解決策として誕生したはず。
「アオーレ長岡」が「市役所」「アリーナ」「ナカドマ」の3つの機能を持って生まれたのは、「これから」の課題にも対応できるフレキシビリティを考えられてのことだと思う。
少子化、高齢化、人口減少問題に中心市街地の衰退
長岡市に限らず、日本全国の地方都市が「これから」取り組まなくてはならない課題は山のようにある。
長岡市は「これから」のまちづくりをこのように考えている。
「新しい長岡のまちづくりには、市民と市役所がともに考え、ともに取り組むことが必要。これこそが「市民との協働」です」
その拠点として、そのシンボルとして誕生したのが「アオーレ長岡」というわけだ。
全国初の機能を備えた新しいハードのポテンシャルを長岡市(民)がどう引き出すか。
ハードとソフトのベストミックスに期待したい。

■アオーレ長岡:http://www.city.nagaoka.niigata.jp/ao-re/

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